高高度防衛ミサイルはアメリカ陸軍が開発した弾道弾迎撃ミサイルで、Terminal High Altitude Area Defense missile の頭文字をとって THAAD、サードと呼んだりします。
ごく簡単に言うと、敵が発射した弾道ミサイルに向けて発射し空中で爆発させるためのミサイル。今現在日本の自衛隊はこのミサイルを保有・配備していませんが、北朝鮮が相次いでミサイル発射事件を行なっている中、2017年1月稲田防衛大臣がグアムの空軍基地でTHAADの視察を行っており、今後配備する可能性があります。また韓国では在韓米軍が配備を進めており、あと数日以内には運用が可能になる見込みとなっています。
ここでは超高速で飛行している弾道ミサイルにどうやってTHAADを当てることができるのか、ざっくりと仕組みを見ていきたいと思います。
高高度防衛ミサイル(THAAD)の概要
全長 6.17メートル
重量 900キログラム
直径 34センチ
全長は約6メートルですが直径わずか34センチしかなく、かなりスリムなミサイルです。弾道ミサイルの劇撃は、どのタイミングで迎撃するかで3つのタイプに分けられます。
・弾道ミサイルが発射された直後のブースト段階で破壊するもの
・発射後大気圏外で慣性飛行している段階で破壊するもの
・着弾前の大気圏再突入段階で破壊するもの
THAADは3つ目のタイプで短中距離弾道ミサイルを迎撃します。最大高度150キロ、最大射程距離200キロで、大気圏外で弾道ミサイルを撃破することができます。設計・製造・組立を主に行っているロッキード・マーティン社の公式ホームページによると、2005年以降に行われた発射実験では100%成功していると謳われています。
どうやって弾道ミサイルを迎撃するのか
出典: businessinsider.com
THAADがターゲットを破壊するまでの流れは以下のようになります。
- レーダーが飛来する脅威を検知、ターゲットを確認する
- 自走式の指令センターでレーダーからの情報を人が確認する
- ターゲットの情報をTHAADに伝達
- トレーラーに搭載されたTHAADが発射される
- THAADの頭の部分(Kill Vehicle、迎撃体、以下KV)が離脱し、ターゲットを追跡。の運動エネルギーでターゲットを破壊
KVには目標捜索装置がついており赤外線でターゲットを追跡しながら、自ら方向や高度を制御してこれに体当たりしていきます。爆薬は搭載されておらず、自身の速度、質量、硬度などの運動エネルギーを持ってターゲットを撃破します。