シン・ゴジラ 地中貫通型爆弾(MOP)の威力とは?

映画『シン・ゴジラ』の魅力は、日本という国が緊急事態に対しどのように対処しうるのかを、自衛隊や内閣への徹底した取材を経て、とてもリアルに描いているところです。

自衛隊の総力戦が徒労に終わったタバ作戦。

ゴジラに傷を負わせることすらできませんでした。その後、都内に侵入したゴジラに、米国空軍が地中貫通型爆弾 MOPII (モップツー)を投下。初めてゴジラに外傷を与えました。

自衛隊は地中貫通型爆弾を保有していません。

というのも、この爆弾の本来の目的は、敵国の領地に投下しダメージを与えることなので、日本の国土と国民を守る自衛隊には必要ないのです。

ここでは、MOPII の威力は本当のところどうなのかを考えてみたいと思います。

※厳密には MOPIIと呼ばれる爆弾は存在しないので、MOPとして話を進めます。

地中貫通型爆弾, MOPとは?

地中貫通型爆弾、通称バンカーバスター (Bunker Buster)は、とても硬いものや地下に作られた強固な要塞を目標とし、それらを破壊する目的で作られている爆弾です。

地表のコンクリートを貫通し、地中で爆発するような仕掛けになっています。

MOP はアメリカで開発されている地中貫通型爆弾の一種で、

Massive Ordnance Penetrator の略。

米軍での正式名称は GBU-57です。GBUとは Guided Bomb Unit の略で、GPS により誘導されるので、ピンポイントで狙い撃ちできます。

Massive (大きい、巨大)という名称が付くぐらいなので、とにかく大きいっ。


出典:zerohedge.com

全長約6.2メートル、重さ約13.6トン。

一般的な建造物で使用される鉄筋コンクリートならば地下約60メートルまで貫通。

地下要塞などに使われる強固な鉄筋コンクリートでも地下約8メートルまで貫通する設計になっています。

誘導式なので絶対に目標(ゴジラ)に当たりますが、もし、もし、投下された MPO IIが地上に落ちていたら、矢口(演・長谷川博己)を含め地下に避難した人が危なかったかもしれませんね。

ちなみに劇中で MOP II を投下したのはグアムからやってきた第509爆撃航空団の戦略爆撃機B-2でしたが、広島に原爆を投下したのもこの509航空団(第509混成部隊)です。

MOPのコスト

MOPを一発投下するには莫大な費用がかかります。

まず MOP を運ぶための爆撃機。今の所この爆弾を運べるのはBー2のみ。Bー2の単価はおよそ800億円。加えて、特別な格納庫や維持管理費を加えたら2000億と言われます**。

MOP の値段は定かではありませんが、2011年4月、米国空軍が MOP 8発と関連装置を2800万ドルで発注していますので、そこから推定できる MOP の1発の値段は約30億円(1ドル=110円計算)となります。

**シン・ゴジラ政府・自衛隊 事態対処研究 (ホビージャパンMOOK 789)を参照しました

過去の MOP 投下実績

できれば投下してほしくないので、実績という表現はよくないかもしれません。過去の戦争において米軍による MOP 投下の記録があります。

  • アフガニスタン戦争
  • イラク戦争

まとめ

核を除けば最強の兵器と言われているバンカーバスター。

シン・ゴジラを見る分には、ゴジラに損傷を与えた唯一の武器なので、「やっぱアメリカってすごいな」と馬鹿みたいに感心するだけでしたが、いろいろ知ってしまうと、「これって人間が人間を殺すために作ったものなんだよな」と改めて気が付き複雑な心境です。

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