シン・ゴジラにおけるゴジラの第5形態とは、映画の最後のシーン、ゴジラの尻尾から何人ものヒトの骨格が出てきていますが、これです。
ゴジラのキャラクターデザインと造形に携わった竹谷隆之氏のインタビューでは、第5形態について「庵野さんはぜったいに説明してくれないので、そこは各々が想像して楽しむのがいいかもしれません」と話しています。
ということなので、今更ですが僕なりに第5形態について考えてみようと思います。
竹谷隆之氏のインタビューはこの本に掲載されています。ユリイカ 2016年12月臨時増刊号 総特集◎『シン・ゴジラ』とはなにか
ゴジラの進化
まずはおさらい、ゴジラの進化。
第1形態 海面からシッポが出てくるだけで全容は不明 第2形態 蒲田に上陸したときの形態、通称「蒲田くん」 第3形態 直立歩行形態、品川付近で進化したことから通称「品川くん」 第4形態 鎌倉から再び上陸したときの形態、通称「鎌倉くん」 第5形態 尻尾に見えたヒト型の形態。実際この進化は凍結作戦により未遂に終わっている
僕は1回目に映画を見たとき、てっきり蒲田くんが第1形態だと思っていたけど、間准教授(演・塚本晋也)の書き示すこれによれば、海中での形態から数えるらしい。
出典:ジアートオブシンゴジラ「確認された形状を簡単に整理してみた。第1形態、第2形態、そして第3形態だ。今後も変態を遂げると思われる」
ジ・アート・オブ・シン・ゴジラには、巨災対が目にしていた資料などがかなり豊富に掲載されておりかなり楽しいです。
第5形態がヒト型である理由
ここが一番気になるポイントだと思います。
第1形態から第4形態では恐竜風で、第4形態は誰もがよく知るゴジラの姿に収束した。にも関わらず、第5形態は小さいヒト型。ヒト型であるがゆえに、そもそもそれが第5形態である、ということに気が付くまで時間がかかりました。
ヒト型である理由を考えるにあたっては、以下のセリフが参考になると思います。
「船内は無人の模様。遺留物あり。…やはり無人だ。事件性はなさそうだが、海中転落の可能性あり。曳航準備に入る」 海上保安庁『はまなみ』海保隊員
牧博士が乗っていたとされるプレジャーボートが無人状態で発見、海中転落が示唆されます、そしてその直下からゴジラが現れます。
少なくとも博士がゴジラ出現のきっかけを作ったことは明白で、また、牧博士がゴジラそのものである仮説が生まれます。この時点で、ゴジラのDNA中に人間のDNAが組み込まれていることが考えられます。
「その影響下で生き残るために放射能に耐性を持つ生物へと急速に進化した」カヨコ・アン・パタースン – 米国大統領特使(演・石原さとみ)
ゴジラは環境に変化するために恐ろしいスピードで進化することがわかっています。蒲田くんから品川くん(第2形態から第3形態)への急激な変化もまたしかり。
第4形態になったゴジラは再び都内を目指して上陸・前進しますが、明らかな威嚇攻撃はゴジラから仕掛けてきてはいません。ゴジラはただ移動しているだけ。それだけでも脅威であるから、人間のほうから先にゴジラを攻撃します。
そしてゴジラは人間に脅威を感じた、だから人間に対抗するために同じヒト型へ進化しようとしたのではないか、と僕は考えます。
「進化的見地から、小型化だけでなく、有翼化し、大陸間を飛翔する可能性さえある」間准教授(演・塚本晋也)
このセリフはまさに第5形態を予見させます。
ゴジラ凍結作戦が失敗していたら、将来的には尻尾から出てきたヒト型第5形態には羽が生えて世界中に散らばっていただろうと思われます。
というわけで、第5形態について勝手に考えてみました。いろんな考え方があると思いますが「各々が想像して楽しむのがいい」という幅があって、映画がより楽しめるようになっていますね。
第5形態にまつわる逸話
ラッキーなことに、僕の友人のお兄さんがシン・ゴジラの映像制作に携わっており、直接ではありませんが話を聞くことができました。
それによると、もともとは尻尾から牧博士が出てくる設定だったということです。尻尾の中に目が入っているのですが、それが牧博士ということですね。
シン・ゴジラに関する他の記事はこちらをどうぞ。タバ作戦の解説や、防衛出動など自衛隊に関することからゴジラのガチャガチャについて書いています。