4月から放送が始まる長谷川博己さん主演の刑事ドラマ『小さな巨人』。2016年の映画『シン・ゴジラ』で主演男優賞を受賞し波に乗っている長谷川博己さんですが、意外なことにドラマの主演は初めて。
演じる役どころはノンキャリアの刑事。「ノンキャリアの最高峰である警視庁捜査一課の課長に昇進目前だった」という設定ですが、警察組織に馴染みがない一般人からしたらそれがどれだけスゴイのかよく分かりませんよね。ここでは、警察組織のキャリアとノンキャリアについてまとめながら、ドラマでお馴染みの刑事がどの階級に位置するかをまとめたいと思います。また、警視庁の階級に応じる役職をまとめ、課長がどの階級に当たるか明らかにします。
キャリアとノンキャリア
よく言われるキャリア組とは、国家公務員として採用された人。特に国家試験 I 種試験に合格し採用された人を指します。II 種の場合もキャリアに準じますが、I 種に比べて昇進速度は鈍り、準キャリアと呼ばれます。ノンキャリアは地方公務員となります。
国家公務員試験 I 種・・・キャリア
国家公務員試験 II 種・・・準キャリア
地方公務員試験・・・ノンキャリア
警察のヒエラルキーをまとめると次のようなります。
キャリア(国家I種採用者)は初任から警部補で、採用7年目には無試験で警視に一斉昇進します。大学を卒業してすぐに採用されたとすると、若干29歳で警視。
ノンキャリアの初任は巡査。下から地道に一定の経験年数を積み重ねながらひとつずつ昇進試験を受けなくてはなりません。競争が激しく合格率も低いため、順調に出世していく人は本当に優秀な人なのでしょう。ノンキャリアでも警視正くらいまではいけますが、行ける人は限りなくゼロに近く、ほとんどのノンキャリアは警部補で定年となります。
過去の刑事ドラマのあの人はどの階級?
過去にも刑事ドラマはたくさん放送されています。僕の一番のお気に入りは『古畑任三郎』。視聴者には犯人が誰かを包み隠さず、古畑がどうやって追い詰めるのかを楽しむ、後にも先にもないタイプの刑事ドラマでした。
あのドラマのあの刑事は一体どの階級なのか見ていきましょう。
警視監
踊る大捜査線・室井(柳葉敏郎)・・・警察組織の縦割りを気にせず、所轄と一緒に捜査できる組織体制を作りたい。
警視正
踊る大捜査線・真下(ユースケサンタマリア)・・・東京大学法学部卒、ストレートで I種試験に合格し警察庁に入庁。絵に描いたようなキャリア組。入庁約17年、39歳で警視正となる。
警察庁については警視庁と間違いやすいのでこちらをご覧ください。
警部
相棒・杉下右京(水谷豊)・・・東京大学法学部卒、I種試験に合格し警察庁に入庁のキャリア組。
SP・緒方(堤真一)・・・東京大学法学部卒、キャリアではなくあえてノンキャリの道を選択。現場主義のため昇進試験は受けず警部に止まっている。
警部補
古畑任三郎・古畑(田村正和)・・・キャリアかノンキャリなのかは不明。警視庁きっての推理力は相棒の杉下にも引けを取らないはず。
踊る大捜査線・青島(織田裕二)・・・ノンキャリ。テレビシリーズでは巡査部長だったがその後の映画で警部補に昇進している。
アンフェア・雪平(篠原涼子)・・・ノンキャリ。交通課を経て刑事課に配属されている。
相棒・神戸(及川光博)・・・中央大学法学部卒業後、警視庁に入庁。経歴から察するにノンキャリ。
巡査部長ーここから下はみんなノンキャリ
あぶない刑事・タカ(舘ひろし)、ユージ(柴田恭兵)・・・推理っていうより体使って事件を追いかけてなんぼの2人。
踊る大捜査線・恩田すみれ(深津絵里)・・・青島より先輩のはずだけど出世に興味がないのか巡査部長止まり。
相棒・亀山(寺脇康文)・・・初代相棒。杉下右京が頭脳で攻めるなら亀山はガテン系、体で攻める。
はぐれ刑事純情派・安浦(藤田まこと)・・・意外と階級は低かったはぐれ刑事。試験ではなく事件解決で昇進しているようですが、やはり試験にパスしなければここから上へは行けない。
巡査長
こち亀・両津勘吉・・・あんなに色々とやらかしても一応どべではなかった。
巡査
古畑任三郎・今泉(西村雅彦)・・・古畑といつも一緒にいるけど全く役に立たず、一般常識もない。ただ、たまに事件解決の糸口になるような発言や行動をするため、古畑は今泉を手放そうとしない。
キャリア組で上層部まで行くと現場に出て行くことが少なくドラマにならないため、ドラマに出てくる刑事のほとんどは現場に出向く警部までが多いことがわかります。ちなみに、設定として東京大学法学部卒が多いのは、歴代の警視総監の出身校のほとんどが東大法学部のためです。
階級に加えて役職もある
ここがややこしいところですが、階級にプラスして役職もそれぞれあります。今度放送が開始されるドラマ『小さな巨人』では、主人公のノンキャリア刑事(演・長谷川博己)は「ノンキャリアの最高峰である警視庁捜査一課の課長に昇進目前だった」とされています。課長というのは役職名であり、階級ではありません。では、どこの階級に当たるのかというと次のようになります。(警視庁だけ抜粋してあります、警察庁になると警視より上層の階級は違う役職名がつきます。)
階級 | 警視庁の役職 |
警視総監 | 警視総監 |
警視監 | 副総監 |
警視長 | 部長 |
警視正 | 参事官、課長 |
警視 | 管理官、課長 |
警部 | 係長 |
警部補 | 主任 |
巡査部長 | 係 |
巡査長 | 係 |
巡査 | 係 |
ノンキャリで最高峰の警視庁捜査一課課長、ということであれば警視または警視正ですね。第1話の始まりでは香坂は警部でしたので、そこから昇進ということであれば警視です。前述しましたがほとんどのノンキャリア警察官が警部補で退官することを考えれば、小さな巨人の主人公・香坂はとんでもなく優秀ということになります。