北朝鮮と自衛隊、ミサイル迎撃10分間のシュミレーション

今年北朝鮮が放ったミサイルは14発、最近はまたか〜と思うだけで平和ボケ具合は以前と同じ僕ですが、8月4日フジテレビ『池上彰緊急スペシャル!』で北朝鮮のミサイルが日本の領土に落ちる場合、自衛隊がどうやってそれを迎撃するのか、また、私たちはどういう行動をとったらいいのかをやっていたのを見て結構怖くなりました。

Jアラートのことは知っていても、実際何が起きるのかということをイメージできてとてもためになったと感じました。なので、やっていたことをまとめたいと思います。

北朝鮮の軍事力

兵力

北朝鮮では陸軍、海軍、空軍などに従事する人が合計約119万人いるとされています。北朝鮮の人口は2016年時点で2537万なので、だいたい100人に4人は軍関係者ということになります。かなり多いですよね。

119万人の中の約10万人は特殊部隊の所属。その実力は米軍のネイビーシールズやグリーンベレーと同等の戦力があるとされ、日本語を話す隊員で構成される対日特殊部隊には約1000人が所属しているとされています。

ちなみに日本の自衛官は2016年3月の時点で約25万人。予備自衛官が約4万8千人で、即応予備自衛官が約8千人なので、全て合わせると約31万人です。

核兵器

北朝鮮がこれまでに行った核実験は計5回。

2006年10月9日 
2009年5月25日
2013年2月12日
2016年1月6日
2016年9月9日

金正恩委員長になってから3回の実験をしています。実験の目的は「核の小型化」、つまり核爆弾をミサイルの弾頭に入れられるくらい小型化するためだと見られています。

先月スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は世界の核軍備に関する報告書を発表、それによると今年1月時点で北朝鮮は核弾頭を10~20発保有していると推計しています。

弾道ミサイル

北朝鮮が保有する主な弾道ミサイルは以下の通り様々な種類がありますが、合計で1000発以上と言われています。

名前、射程距離で

トクサ 約120km
スカッドB・C 約300~500km
スカッドER 約1000km
北極星2型 約1200km
ノドン 約1300km
ムスダン 約2500~4000km
テポドン2 約6000km
火星14型 約5500~10000km

このうち日本を射程に収めるのはスカッドER、北極星2型、ノドン、ムスダンです。北朝鮮が2017年に発射したミサイルと落下地点についてはこちらにまとめてあります。

北朝鮮が発射したミサイルと落下点 2017
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北朝鮮がミサイルを撃った時、自衛隊はどう動くのか

同番組では北朝鮮がミサイルを発射し、その着弾地点が首都圏であると判明した場合、自衛隊がどうやってそれを迎撃するのか、そして私たちがどう行動するべきかをシミュレーションしていました。ミサイルが発射され日本に到達するまで約10分。その10分間で何が起きるのか、以下まとめます。

弾着までの残り時間(分:秒)、その時何が起きているのか

10:00
北朝鮮がミサイルを発射

09:30
アメリカ軍の早期警戒衛星(赤外線で24時間北朝鮮のミサイル発射を監視している)がミサイルをキャッチ。その情報はアメリカコロラド州ピーターソン空軍基地とオーストラリアのパインギャップ衛星追跡基地に送られる。情報の内容は以下の通り。

発射地点
発射時刻
ミサイルの種類
着弾予測地点
着弾予測時刻

09:00
弾道ミサイルの情報が日本に入ってくるのは、ミサイルの発射から1分以内と想定されている。在日米軍横田基地やキャンプ座間から防衛省中央指揮所(東京都市ヶ谷)や弾道ミサイル防衛の指揮をとる航空総隊司令部(航空自衛隊横田基地内)に情報が伝達されます。

この情報を受けて、防衛大臣は総理の承認をを経て自衛隊に破壊措置命令(ミサイルを破壊しなさいという命令)を下す。現在はこの破壊措置命令が常時発令中の状態。

(弾道ミサイルには発射から着弾までに3段階あり、ミサイルが打ち上がっている第1段階では自衛隊は迎撃しません。)

07:50
ロケットエンジンの噴射が終わり弾頭が切り離される。ミサイルが大気圏の外に出る(第2段階)

07:00
海上自衛隊のイージス艦がミサイル迎撃の準備を始める。Jアラートによって着弾地域の国民にミサイル発射が告げられ避難が促される。報道機関もテレビやラジオも避難を呼びかける放送を開始。東京メトロではJアラートを受信した場合電車を止まる。

05:45
ミサイルの軌道が放物線の頂点にくるあたりを狙ってイージス艦が迎撃ミサイルを発射。早期警戒衛星の情報を元に、イージス艦が迎撃ミサイルを誘導する。最大到達高度は最大500km。

迎撃するのには、2発の迎撃ミサイルを立て続けに発射した方が確率を高めるとされるが、海上自衛隊の運用では発射できるのは1発のみ。日本に駐留している米イージス艦からも迎撃ミサイルが発射されると考えられ、自衛隊と米軍が連携して迎撃することが想定される。

05:00
この時点でなお、北のミサイルが日本の領海や領土に着弾する恐れがある場合、再度Jアラートで呼びかける。建物の中に身を隠し窓から離れる、屋外の場合は物陰に身を隠し頭を守る。

04:00
海上自衛隊の迎撃ミサイルが大気圏を突破、ある程度、迎撃対象に近づいてから弾頭が自動で軌道修正を行い北朝鮮のミサイルを迎撃する。

03:00
迎撃ミサイルにより北朝鮮のミサイルを破壊することに成功した場合は、その時点で破壊措置完了。しかし、迎撃が失敗した場合、日本弾着まで残り3分。

02:00
ミサイルが下降し始める(第3段階)。航空自衛隊の PAC-3がミサイル迎撃を試みる。PAC-3の最大射高は15キロ。(旅客機が飛んでいる高度は上空約10キロなので、迎撃は私たちでも目視できる距離で行われることになる)

なお、PAC-3は全国17部隊、15箇所に配備されている。今回のシナリオではミサイル着弾地点が首都圏なので、市ヶ谷の防衛省、入間基地(埼玉県入間市・狭山市)、武山分屯基地(神奈川県横須賀市)、霞ヶ浦分屯基地(茨城県土浦市)、習志野分屯基地(千葉県船橋市)の合計5箇所のPAC-3が運用される。

01:00
ミサイルが再び大気圏に突入。

PAC-3システムがミサイル迎撃に当たられる時間はわずか数10秒。ミサイルの速度はこの時点でマッハ10(時速約1万2千キロ)。早いだけでなく、小さな弾頭を迎撃しなくてはならない。撃ち漏らすことは許されない、そのためPAC-3は最後の砦と呼ばれている。

00:03
PAC-3によって破壊措置完了。

まとめ

実際にミサイルを撃った場合、アメリカ軍に攻められることを北朝鮮もわかっているので、そんなリスキーなことはしないはず、という見方もあります。なので、北朝鮮のミサイル威嚇でむやみに不安になる必要はありません。ただこういうことは知っておくといざという時に役にたつと思います。

ミサイル迎撃について大きな役割を担うのは海上から迎撃ミサイルをうつ海上自衛隊。海上自衛隊の一般的なことについてはこちらにまとめました。

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