北朝鮮は今年になってからたくさんの弾道ミサイルを日本海に向けて放ってきました。最近では核実験の兆候も見られ、ますます緊張感が高まっています。
発射されたミサイルのうち、8月29日と9月15日のものは日本上空を通過し太平洋に落下しました。Jアラートが発動したことも話題となりました。ここではその2発の弾道ミサイルと、過去に日本上空を通過したミサイルについてまとめます。
弾道ミサイルの弾道
8月29日(火)
午前5時57分ごろ平壌近郊の順安(スアン)地区から1発のミサイルが発射。北海道の襟裳岬上空を通過。最高高度約550キロ、飛翔距離約2700キロのところである太平洋に落下しました。最後には3つに分離し着水した模様です。
9月15日(金)
午前6時57分ごろ西海岸から発射され、上の地図とほぼ同じ所を通過して襟裳岬の東約2200キロの太平洋上に落下したと推定。最高高度約800キロ、飛行距離は約3700キロ。前回よりも約1000キロ飛距離が伸びています。
4発のミサイル発射計画が発表されているグアム方向ではなく、あえて北東(アメリカ本土の方向)に向けてミサイルを発射することで挑発していると見られます。発射場所もこれまでとは異なっており、いつ何時どこからどの方向へミサイルが発射されるのか、予測が大変困難であることがわかります。
初のJアラート発動
8月15日の弾道ミサイルではJアラート(全国瞬時警報システム)が初めて発動されました。Jアラートで警報が出た地域は、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野の合計12地域。これほど広範囲が対象となる原因として、発射直後のミサイルの角度が垂直に近く落下地点の絞り込みがなかなか難しいようです。
該当の地域には屋内や地下へ避難するようスピーカー放送もされています。これまでの度重なるミサイル発射実験で認知度が上がっていたJアラートですが、実際に発動されると緊張してしまいます。
余談ですが格安スマホではJアラートを受信できない可能性があるので、アプリをダウンロードしておくと良いです。僕は楽天モバイルを使用しており、このアプリを入れています。対象地域ではなかったのでJアラートは受信しませんでしたが、防災速報として北朝鮮がミサイル発射という一報が入りました。
Yahoo!防災速報 – 災害情報を通知 – Yahoo Japan Corp.
過去に日本の上空を通過したミサイル
Jアラート発動でホリエモンこと堀江貴文さんが「安眠を妨げられた、ミサイルは過去に何度も日本上空を通過している」というような趣旨のつぶやきをしプチ炎上騒ぎとなっていましたが、一体何発のミサイルが上空を通過したのでしょうか。
1998年8月31日
テポドン1号の一部が日本上空を通過、三陸沖の太平洋に落下【事前通告なし】
2009年4月5日
テポドン2号の改良型。秋田、岩手県の上空を通過し太平洋に落下。【事前通告あり】
2012年12月12日
テポドン2号の改良型。沖縄県上空を通過し一部がフィリピンの東方沖に落下。【事前通告あり】
2016年2月7日
テポドン2号の改良型。5つに分離したミサイルの一部が沖縄県上空を通過して太平洋に落下。【事前通告あり】
2017年8月29日
襟裳岬上空を通過し太平洋に落下【事前通告なし】
2017年9月15日
襟裳岬上空を通過し太平洋に落下【事前通告なし】
今年の2発を入れると合計6発が日本上空を通過しています。ただ、そのうち3発は衛星の打ち上げと称する事前通告があったのに対し、初回と今年の2回は事前通告がありませんでした。これは「日本上空を通過」ということ以上に深刻な意味があると思います。
迎撃システム
度重なる北朝鮮の挑発行動もあり、弾道ミサイルを迎撃するシステムが注目を集めています。海上自衛隊のイージス艦や、航空自衛隊のPAC3、導入が決定された地上イージスなどがあります。
日本上空を通過した2発の弾道ミサイルに対しては迎撃を行いませんでしたが、それは着弾ポイントが日本国土ではないと断定した上でのことでしょう。
仮に、日本国土に着弾する可能性がある場合の迎撃行動はこちらにまとめました。