海上自衛官、護衛艦の乗組員の給料はいくら?

四方を海に囲まれた日本では、海から日本を守ることはとても重要です。中国の漁船が尖閣諸島周辺海域に集結したニュースを覚えている人もいると思います。

海上自衛隊は海上保安庁と一緒になって海から日本を守ったり、国際平和協力活動としてソマリア沖・アデン湾における海賊対処を行うなど、海を舞台に様々な活動・訓練を展開しています。

艦船に配乗された海上自衛官は、航行予定場所や訓練内容など、どこに行くか、いつ帰るのかを家族にも伝えることができず出港することもあります。残される家族にとってそれがストレスになることもあるでしょうし、当の海上自衛官は閉鎖的な船上で数週間、数か月の訓練に耐えなくてはなりません*。

*海上自衛官を夫にもつ奥さんの話では、平均で1ヶ月、長ければ半年ほど帰ってこないこともあるようです。行動の予定は言えないことが多く、どこにいるのか、いつ帰ってくるのかもわからないといいます。

そのため、このような海上自衛官には給与にプラスして、きちんとした手当が支払われます。「艦艇乗りは高給」となんとなく聞いたことがある人もいるでしょう。今回は、海上自衛官、特に、船乗りの給与について書いていこうと思います。

海上自衛官の給与体系

防衛省ならびに自衛官の給与は「防衛省の職員の給与等に関する法律」と「防衛省の職員の給与等に関する法律施行令」から読み解くことができます。

これによると、海上自衛隊の中で船乗りとして職務を遂行する自衛官の給与は次のような式で計算されます。

基本給 + 乗組手当 + 航海手当

※ほかにも地域手当等ありますがここでは割愛します。

基本給

乗組員であろうとなかろうと、さらに言えば、自衛隊の中でも、海上だろうが陸上だろうが航空だろうが関係なく、それぞれの階級に応じて支払われるものです。

同じ階級でも勤続年数や年齢により幅があります。

乗組手当

護衛艦などの艦船では基本給の33%UP、潜水艦ならば44.5%UPとなります。

航海手当

航海手当はどの水域を航海するのかでだいぶ違います。水域には4種類あり、「防衛省の職員の給与等に関する法律施行令」に記載された緯度経度を地図上に示すと以下の通りになりました。(地球が丸いので横の線が湾曲してしまい水域がかぶってるように見えますが、実際はかぶってないと思われます。)

第1区 日本周辺、中央の青い線内側の水域
第2区 オレンジ色で第1区に含まれない水域
第3区 北と南にある黒で囲まれた水域
第4区 その他の水域

第3区になるとただ行って帰って来るだけで2週間くらいはかかりそうですよね。加えて訓練を行うとなれば長期化するのも頷けます。

航海手当は航海中の1日単位で支給され、日当が次の表になります。当然ですが遠くの水域にいけば行くほど高くなっていきます。

で、結局いくらになるのか?

仮に、護衛艦の乗組員である新米の海士長が1ヶ月に10日間第1区水域の航海に出かけた場合、この人が受け取る月給は次のようになります。

基本給 + 乗組手当 + 航海手当

181,300 + (181,300 X 0.33) + (620 X 10) = 247,329円!!

海士長と言ったら高校卒業後にストレートで自衛隊に入隊した場合は20~21歳ほどですので、この年齢で約25万円の月給はかなり高給ではないでしょうか。

転勤による給与の変動

自衛官には転勤があります。海上自衛官の場合は転勤によって、艦艇勤務から陸上勤務になったり、逆に陸上勤務から艦艇勤務になったり、または勤務が変わらず場所だけ変わることもあります。民間の船会社でも、陸上勤務と船上勤務を数年ごとに繰り返すパターンもありますが、それと同じです。

艦艇勤務から艦艇勤務、または陸上勤務から陸上勤務であれば、環境の変化こそあれ、さほど大きなインパクトはないでしょうし、給与も大きく変動しません。

大変なのは艦艇勤務から陸上勤務とその逆です。環境も大きく変わる上に給与も大きく変動します。

その他の手当 ~ 弾道ミサイルの破壊措置

乗組手当や航海手当ほど額が大きくならないものの、仕事の特殊性から与えられる手当は他にもたくさんあります。

最近何かとニュースとなる北朝鮮の弾道ミサイルですが、破壊措置命令が出た場合、最初に迎撃を試みるのは海上自衛隊のイージス艦です。実は、弾道ミサイルの破壊措置命令に関して支給される「対空警戒対処等手当」と言うものがあります。

▼対空警戒対処等手当

「自衛隊法第82条の3の規定により弾道ミサイル等を破壊する措置をとるべき旨を命ぜられた自衛隊の部隊の自衛官であって防衛大臣の定める業務に従事するもの」には1日1,000円(当該業務が特に困難な作業で心身に著しい負担及び緊張を与えると防衛大臣が認める場合は、当該額にその百分の五十に相当する額を加算した額(=つまり1,500円))

これは仮にイージス艦の迎撃が失敗して、航空自衛隊管轄の地上迎撃システムのPAC3が破壊措置を担うことになった場合は航空自衛官も手当付与の対象になると考えられます。

参考

北朝鮮と自衛隊、ミサイル迎撃10分間のシュミレーション
今年北朝鮮が放ったミサイルは14発、最近はまたか〜と思うだけで平和ボケ具合は以前と同じ僕ですが、8月4日フジテレビ『池上彰緊急スペシャル!』...
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

トップへ戻る