第3回 シン・ゴジラのリアル、現役自衛官が解説!タバ作戦部隊編成編

前回、前々回と、ゴジラの上陸から品川で初めて対峙するシーンについて、現役陸上自衛官のKさんが自衛隊ならではの視点から見た感想を紹介してくれました。今回Kさんが語ってくれるシーンは、もっとも自衛隊が活躍するシーン、タバ作戦です!

タバ作戦は、再び上陸してきたゴジラの都内侵入を防ぐため、多摩川に防衛線を張り本格的にゴジラを攻撃します。映画を見た多くの方が「自衛隊かっこいい!」と思うシーンでもあり、まさに自衛隊の見せ場ですね。では早速お話を聞いてきましょう!

※この記事は「シン・ゴジラ」のネタバレを含みます、ご注意ください※

タバ作戦、部隊編成編

統合任務部隊とは?

まず説明したいのは、第2回のゴジラと対峙するシーンの時に言い忘れたことなのですが、統合任務部隊(Joint Task Force, JTF)についてです。

東部方面総監を指揮官とした統合任務部隊を編成。 作戦目的は、駆除とします

 

統合任務部隊というのは、ある任務を完遂するために陸海空の指揮を一元化して編成される部隊のことです。陸海空それぞれが各々の作戦を立てて活動するより、ひとつにまとまった方が情報共有や戦力が向上し効率がいいですからね。

劇中では指揮官が東部方面総監となっていました。陸上自衛隊は日本を5つの区分に分けて管轄しており、北から北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、中部方面隊、西部方面隊と呼びます。関東圏を管轄しているのが東部方面隊であり、ゴジラ掃討作戦の指揮官として東部方面総監が任命されているわけですね。

ちなみに東日本大震災の時も統合任務部隊が編成され、指揮官は東北方面総監でした。ゴジラの制作は、震災を強く意識していると思いましたね。

総理から新たな作戦の実施が下命された。武器使用は無制限までを想定。防衛大臣からは、いざとなったら徹底的にやれ、必ず都内侵入前に駆除せよ、とのことだ

 よし、川崎側を主戦場とする駆除作戦、B-2号を発動せよ

了解。多摩川を絶対防衛ラインと想定するB-2号、タバ作戦を開始

 

今までの怪獣映画では、秘密兵器を使った作戦以外は、基本的にありとあらゆる火器を怪獣が直接見える位置に並べて撃ちまくるだけでしたが、方面総監を指揮官に、しっかりと各部隊が連携した作戦を計画しているところもリアリティに繋がっていると思います。

タバ戦闘団

ピエール滝さんが演じていた現場の指揮官の役どころも、非常にリアルな設定になっています。普段の役職は第一普通科連隊長ですが、有事の際は普通科連隊に機甲科特科などの部隊を組み合わせ「戦闘団」というものを臨時に編成します。(ちなみに「第一」は練馬駐屯地に所属する部隊を指します)

そうすることで効率的に作戦を行える体制を組むわけなんですね。なのでピエール滝さんの名前テロップも「タバ作戦戦闘団戦闘団長(第一普通科連隊長)」になっていたかと思います。こういうところがとても細かくリアルで、よく調べているなと感心します。

怪獣が出てきて自衛隊が攻撃するシーンのある他の映画でもあると思いますが、戦闘団長という役柄の人物が登場した映画を僕は他に知りません。

                                        

自衛隊の組織は民間企業のそれとはずいぶんと違っているのでなかなか分かりづらいですが、連隊長は階級でいうと1佐で、外国軍人呼称でいうところの大佐にあたり、大将、中将、少将の次にあたる人です。民間企業との対比はとても難しいですが、数万人規模の会社の部長といったところのようです。

作戦命令の流れはこちらにまとめました。

シン・ゴジラで学ぶ、分かりやすい自衛隊組織編成の仕組み
映画『シン・ゴジラ』では自衛隊がたくさん出てきます。かっこいいシーンもたくさんありましたが、自衛隊の組織は独特で正直よくわからないと思った方...

自衛隊一番の見せ場ということもあり、まだまだ紹介したい事柄があるというKさん、タバ作戦、次回攻撃編に続きます!お楽しみに!

陸上自衛官Kさん ― 子供の頃からゴジラ、ウルトラマン、ガメラなどの特撮好き、それが高じて自衛官になる。一番好きなゴジラ作品は初代またはメカゴジラ(選べない)。また自衛隊がかっこいいという理由でビオランテも好き。
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