第2回 シン・ゴジラのリアル、現役自衛官が解説!品川対峙編

第1回目はゴジラが出現し上陸したときの自衛隊について解説を伺いました。前回に引き続き現役陸上自衛官Kさんが語ってくれる今回のシーンはずばり、自衛隊が初めてゴジラと対峙するシーンです!

※この記事は「シン・ゴジラ」のネタバレを含みます、ご注意ください※

CP、こちらアタッカーワン、送れ

このシーンは自衛隊がゴジラを攻撃目標として初めて対峙する場面で、とてもハラハラするシーンですよね。僕のお気に入りのシーンのひとつです。

ここではアタッカーワンと呼ばれるヘリコプターとCP(Command Post、指揮所)の無線のやり取りにリアルさを感じます。

CP、こちらアタッカーワン、送れ

ホールディングエリア2に前進、別命あるまで待機、送れ

アタッカーワン、了解

 

自分の通信を終え相手の応答を求めるときは、一般的に「どうぞ」や「オーバー」と言うと思いますが、自衛隊では「送れ」です。独特の言い回しですがこれもしっかりと再現されていました。

目標、巨大不明生物、頭部

 

「目標正面」や「巨大不明生物頭部」など、号令もきっちり再現されていました。この後のタバ作戦でも、戦車大隊が「目標、正面の敵脚部」という号令を使用しています。目標はゴジラですが、ゴジラのどこを撃つのかまで指示がいきます。闇雲にどこでもいいから打ちまくったりはしないんですね。怪獣映画でよくある「撃てーー!」のような号令はありえません。

射撃の可否を問う

逃げ遅れた都民がいたため、このシーンでは結局ゴジラを攻撃することはありませんでしたがこれも「とにもかくにも安全重視」の自衛隊の姿勢をきっちり表現しています。

「人がいる、射撃の可否を問う」の連絡が現場から総理に届くまで

  1. 現場
  2. ヘリ隊長
  3. 東部方面総監
  4. 統合幕僚副長
  5. 統合幕僚長
  6. 防衛大臣
  7. 総理

と陸自組織の上部へ伝達されるシーンにまどろっこしさを感じた方もいると思います。完全なるヒエラルキーを保つ自衛隊では、途中を飛ばすことはないんですね。

皆入隊した時から覚悟はできています

ところで、出撃する自衛官をどうやって選ぶのかというシーンもありました。

前例のない危険な任務だが…志願を募るのか?

いえ、ローテで行きます。皆入隊した時から覚悟はできています

 

このやりとりもいいですね。実際の任務(災害派遣など)で志願を募るということはほとんどないと思います。普段のローテーションで粛々と任務をこなすのです。


品川でアタッカーワンとゴジラが対峙した時、躊躇なく攻撃していたらゴジラを倒せたと庵野監督が話しています。「自衛隊の弾を国民に向けることは出来ない」として攻撃を中止した判断は正しかったと思いますが、その後の尋常ではない被害を考えると悔やまれます。

では次回もお楽しみ!

陸上自衛官Kさん ― 子供の頃からゴジラ、ウルトラマン、ガメラなどの特撮好き、それが高じて自衛官になる。一番好きなゴジラ作品は初代またはメカゴジラ(選べない)。また自衛隊がかっこいいという理由でビオランテも好き。

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