電通の鬼十則と日本一社員が幸せな会社と言われた未来工業

社員の過労自殺により注目を浴びている電通。社員手帳に記載されている「鬼十則」が過重労働との関係を指摘され、来年からは社員手帳から削除されることが明らかなった。

電通 鬼十則

1 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

4代目社長吉田秀雄によって1951年につくられた鬼十則。言わんとしていることはわかる。この姿勢を貫き通せば出世できそうだなと思う。しかしその代償に月100時間を超えるような残業はごめんだ。3年前にも社員が過労自殺した電通のブラックぶりが半端ない。マルクスの資本家による労働者の搾取がちらっと頭をよぎる。そして数年前話題になり日本一社員が幸せと言われた未来工業を思い出す。

未来工業、日本一社員が幸せな会社

未来工業は岐阜県にある電気設備資材、管材等の製造・販売をしている中堅企業。会社のホームページに社員への考え方が載っていたので以下抜粋。

当社は、社員の「やる木」を育てることを経営の柱にしています。一日の大半を過ごす会社で、何から何までがんじがらめでは、社員はそんな会社のために努力しようという気が起きてくるはずもありません。そのため、当社は、外せる制約はできるだけ外そうと考えています。具体的には、作業服は自由にしました。1日の労働時間は7時間15分、年間休日日数は約140日という日本有数の休みが多い会社です。ところで、個人の能力はまちまちです。個々人の能力に差があるのは仕方ないことですが、各々が持っている能力を100%発揮して、皆が力を合わせていくことが大切だと考えています。また、社員はプラス思考をすることが大切だと考えています。経験則もないのに「もしも?・・・」というマイナス思考は禁句です。先ず、実行し、その先で万一問題点が発生した時にはその改善をする考え方が、会社発展の基本線です。そして、何よりも、社員の自主性を尊重します。                              出典 http://www.mirai.co.jp/

利益を追求する、という点では電通も未来工業も同じだが経営者のやり方はそれぞれ。未来工業では

  • 営業のノルマ禁止
  • 残業は一切禁止
  • 上司が部下に思想ややり方を押し付けてはいけない
  • 年間休暇140日 (有給休暇別途)
  • 上司への「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」禁止

など、普通では考えられない方針をとり創業以来赤字なしというのだから驚き。創業者の山田昭男氏は社長というポジションについてこう話す。

社長の仕事というのはね、社員を幸せにして、「この会社のためにがんばろう」と思ってもらえるような『餅(インセンティブ)』を与えること。社員がヤル気を出して会社が儲かれば、分け前をまた『餅』にする。それだけだよ。

ホワイトすぎる!

電通は勤続年数が増えれば給与も高くなる大企業。そういう点では若者を安い給料で使い捨てるブラック企業とは一線を画す。しかし過去に過労自殺の社員がいたにも関わらずまた同じことを繰り返した点ではやはりブラック。未来工業ほど社員の幸せを思わないにしても、せめて自殺者が出ない労働環境に最低限変えていかなければならない。鬼十則の削除でどれほどの効果があるのだろう。

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