ベートーベン第九はなぜ年末の定番?合唱「歓喜の歌」和訳

年末になると決まって各地で演奏されるのがベートーベンの交響曲第9番、略して「第九」(だいく)、そして第四楽章は通称「歓喜の歌」。タイトルでピンとこなくても、第4楽章のクライマックス部分のメロディーは誰しもが1度は聞いたことがあるはずです。

日本では年末に聞くクラシック=第九として定着しており、今や世界一歓喜の歌を歌っている国と言っても過言ではありません。クラシックの本場ヨーロッパでは年末だからと言って第9を演奏することはあまりありません。

ベートーベン直筆の第9の楽譜(出典:2.bp.blogspot.com)

ベートーベン第9の概要

演奏時間は約70分

ベートーベンの9番目にして最後の交響曲。交響曲は通常第1楽章から第4楽章まであって、第9もしかりです。第4楽章で構成することによって起承転結を表し、お客さんを退屈させない仕組みです。シューベルトの交響曲第7番は第3楽章までしかありませんが、それゆえ「未完成」と呼ばれます。

第1楽章からぶっ通しで演奏すると、テンポにもよりますが概ね 60~70分かかります、超大作ですね。

合唱が入るのは最後の20分だけ

もっともポピュラーで誰しもが必ずと言っていいほど聞いたことがあるのは第4楽章、通称「歓喜の歌」です。交響曲には珍しく合唱が入ります。

全編70分にわたる超大作の中の最後約20分、合唱とともにラストスパート、そして終演します。

出番がくるまでの50分間、合唱隊は何をしているのかと思う方もいるかもしれませんが、合唱隊は第2楽章と第3楽章、もしくは第3楽章と第4楽章の間に入場することが多いようです。

僕はバイオリン弾きなので、この曲に限らず演奏している時間が比較的長く、他の楽器さんたちの演奏を聞いているだけの時間はそれほど長くありません。舞台上でお客さんに見られる形でスタンバイしている時間が長かったら大変だろうなと思います。

日本で演奏される場合は第4楽章だけが演奏されることが多いようです。

ベートーヴェン: 歓喜の歌(交響曲第9番「合唱付き」 – 第4楽章より)
Nicolaus Esterhazy Chorus, ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア & ベーラ・ドラホシュ
2011/12/20 ¥150



歓喜の歌は何を歌っているのか

もともとドイツ語なので、合唱を聞いても全くわからないですよね。「歓喜の歌」と言われているくらいだし、開けた感じのポジティブメロディーでネガティブなことを歌っているわけはないだろうとは容易に想像できるところです。

 おお友よ、このような音ではない!
 我々はもっと心地よい
 もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか

 歓喜よ、神々の麗しき霊感よ
 天上の楽園の乙女よ
 我々は火のように酔いしれて
 崇高な汝(歓喜)の聖所に入る

 汝が魔力は再び結び合わせる
 時流が強く切り離したものを
 すべての人々は兄弟となる
 汝の柔らかな翼が留まる所で

 ひとりの友の友となるという
 大きな成功を勝ち取った者
 心優しき妻を得た者は
 彼の歓声に声を合わせよ

 そうだ、地上にただ一人だけでも
 心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ
 そしてそれがどうしてもできなかった者は
 この輪から泣く泣く立ち去るがよい

 すべての被造物は
 創造主の乳房から歓喜を飲み、
 すべての善人とすべての悪人は
 創造主の薔薇の踏み跡をたどる

 口づけと葡萄酒と死の試練を受けた友を
 創造主は我々に与えた
 快楽は虫けらのような弱い人間にも与えられ
 智天使ケルビムは神の御前に立つ

 天の星々がきらびやかな天空を
 飛びゆくように、楽しげに
 兄弟たちよ、自らの道を進め
 英雄のように喜ばしく勝利を目指せ

 抱擁を受けよ、諸人(もろびと)よ!
 この口づけを全世界に!
 兄弟よ、この星空の上に
 ひとりの父なる神が住んでおられるに違いない

 諸人よ、ひざまずいたか
 世界よ、創造主を予感するか
 星空の彼方に神を求めよ
 星々の上に、神は必ず住みたもう

 (出典:wikipedia)

第9が年末に演奏されるのはなぜ?

調べたところ、大人の事情によることろが大きいようです。

戦後間もない1940年代後半、オーケストラの収入が少なく、楽団員が年末年始の生活に困る状況を改善するため、合唱団も含めて演奏に参加するメンバーが多く、しかも当時クラシックの演奏の中では「必ず(客が)入る曲目」であった『第九』を日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)が年末に演奏するようになり、それが定例となったことが発端とされる。

お客さんの入り、演奏する人の人数、希望に満ちたメロディーはいろんな意味で年末に演奏するにはもってこいの曲だったわけですね。

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