11月17日(金)に公開になった東宝アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』。公開から1ヶ月がたち今更ですがネタバレ込みでレビューを書こうと思います。
(以下からネタバレします。)
先にごく簡単にあらすじをまとめると、
「ゴジラに両親を殺され復讐を誓ったハルオが、ゴジラ殲滅作戦を立案し討伐隊を率いて地球に帰還、ゴジラを見事殺すことに成功。しかしその直後、殺したゴジラより数倍も大きなゴジラが現れすさまじい破壊力で討伐隊を蹴散らした」
という感じです。
前半は地球を捨てることになった経緯や説明っぽいセリフが多いため情報過多で疲れますが、後半はゴジラ討伐のアクションシーンが展開します。
主人公ハルオ・サカキは24歳の設定、一般的には大卒の場合社会人2年目の青年です。強引な作戦を立てるあたりは若さ、あるいは未熟さを感じさせますが、ゴジラ討伐時に発揮されたリーダーシップは半端なく、精神年齢的には40歳くらいなんじゃないかと思いました。
ここでは怪獣惑星を知る上で必要となるキーワードを整理したあとで、ハルオが立案したゴジラ殲滅の作戦についてまとめたいと思います。
キーワード
恒星間移民船アラトラム号
主人公ハルオが乗船している宇宙船。全長1.5kmに及ぶ「地球連合軍タウe方面旅団」の母船。ゴジラに支配された地球から脱出した人類が新天地へ向かうための方舟であり、地球人の他にエクシフとビルサルド、計3種族が乗船している。
なお、もう一つの恒星間移民船オラティオ号はアラトラム号の倍、全長3km、乗員約1万人。出航後アラトラム号とは連絡が途絶えている。
エクシフ
母星を失った後、宇宙を放浪したのち地球へ飛来した異星人。宗教国家で教皇中心の階級社会を構成している。未来予知を行うゲマトロン演算(詳細は後述)の技術を持つ。寿命は長く、物語に出てくるもっともの年上のエンダルフは105歳の設定で、見た目は地球人の50歳。アラトラム号の中では、人々の心の平安を助ける神宮を担っている。なお、名前の由来はX星人。
ビルサルド
ブラックホール危機のため母星を捨て地球へ飛来した異星人。科学至上思想で体の多くを人工臓器に変えている。亜空間飛行の技術はビルサルドによって人類にもたらされるなど、科学技術力が高いため、アラトラム号の中では技官に就いているものが多い。地球脱出直前、対ゴジラ決戦兵器としてメカゴジラのようなものを開発するも失敗に終わる。『怪獣惑星』のエンドロールで2018年5月公開となる次作『決戦起動増殖都市』にこのメカゴジラ的兵器が登場することが示唆された。なお、名前の由来はブラックホール大三惑星人。
パワードスーツ
元々は採掘機能を有する惑星開拓用重機であったが、地球帰還後は対ゴジラ作戦に実戦投入される。両腕に装備されているのは20mm口径レールガン。
ゲマトロン演算
異星人エクシフが七芒星神器「ガルビトリウム」を使用して行う未来予測のための高度演算処理。人類が地球を脱出する時の移民者選別や亜空間航行時の到着座標の算出などに使用される。
元丹沢大関門
人類が2万年後の地球に降り立った先は、旧日本の丹沢付近と推測されている。深く生い茂った森と地殻変動による峡谷が混在する環境。の有無によって、通常の通信機器は機能しない。
ゴジラ殲滅の作戦
ゴジラは熱核攻撃にも耐えうる超生物であり、倒すことは不可能と考えられていました。ハルオは過去の対ゴジラ戦闘の記録を分析することで新しい戦い方を見出し、「ゴジラ完全殲滅の可能性と新戦術について」というレポートにまとめています。このレポートを読む限り、ハルオ天才かよっ、と思います。その中で論じられる項目を列挙していくと以下のようになります。
ゴジラの生態
- ゴジラの体組織は金属成分を大量に含む超進化植物である
- 遺伝子の水平伝播(母細胞から娘細胞への遺伝ではなく、個体間や他生物間においておこる遺伝子の取り込みのこと)によってあらゆる生物の特異遺伝子がゴジラには取り込まれていると考えられる
- 100ギガワットの電力を瞬間的に出力し、高加速荷電粒子(熱線)を発射する
- つまりゴジラの体内には電力発生システムがあり、それが防御システムにも関連している
- ゴジラは体細胞を電磁石として機能させ、高周波電磁パルスを発生させシールドを発生させている
- このシールドはある条件下で周期的に1/10000秒くらい弱まる瞬間(ノイズ)がある
理系の人はなんとなくへーと思うかもしれませんが、文系の人は何がなんだかさっぱりな内容ですね。設定としてこういうことを思いつくのがすごいなーと思います。
ゴジラを倒す作戦
ゴジラは自らシールドを作り出して防御している可能性が高く、そのシールドを無効化してから攻撃する、というのが主軸です。大体の流れは以下の通りです。
- 元丹沢大関門の峡谷にゴジラを誘導し、動きを止める
- ノイズを発生させる条件を人為的に作る(一点への集中砲火)
- 接近観測により高周波電磁パルスを発生させる増幅器官がゴジラの体のどこにあるのか特定する
- 増幅器官を射撃し、シールドの発生を無効化する
- 総攻撃!
この作戦は多くの犠牲を払いながらも成功し、見事ゴジラをやっつけます。
「これ3部作あるし、ここでゴジラやっつけたら終わっちゃうから、まぁハルオ負けるよね」と思って見てた観客は(少なくとも僕は)びっくりです。さらにびっくりなのが、倒したゴジラの数倍もある超巨大ゴジラが山の中から現れて討伐隊が蹴散らされていくのです。
いい感じで比較できる画像がありました。ハルオが倒した小ゴジラと親?ゴジラ。半端ないです。
出典:ゴジラボ
本作の中ではこれほど単純に大きさを比較する描写がなかったので、やたらデカイということしかわかりませんでしたが、これだけデカイと「これ倒せないわ」と思います。
歴代ゴジラと比較するとこれです。
シン・ゴジラでさえヒザくらいまでしかありません。この設定はぶっ飛び過ぎていて笑けてきます。
本作は劇場公開後、動画配信サービスNetflixで全世界配信される予定ですので、見ていない方はぜひ!次作『決戦機動増殖都市』にはメカゴジラが登場するはずです。また、本作のラスト出て来た謎の女の子の正体も気になります。