これまでのカルテットは、人生のちょとした下り坂にいる4人が、平凡ながらも音楽でつながって絆を深めていく感じでしたが、第6話だいぶテイストが違ってました。
巻真紀ちゃん(演・松たか子)の夫さん(演・宮藤官九郎)がついに登場。
(真紀ちゃん) どうしてこうなったのか私にもわからないんです。喧嘩はしてません。気づいた時にはなくなってたから、、彼の私への恋愛感情。
(夫さん) 彼女のことはいつも考えてました。いつも申し訳ないなって。どうしてって、、好きじゃなくなったんです。
こんなセリフで始まった第6話。二人の出会いからすれ違うまでを、懇切丁寧に描いてました。見ながら、こういう夫婦は世の中にたくさんいるんだろうなーって思わされました。
二人の心の機微とすれ違う様子を書いていこうと思います。白は真紀さん、緑は夫さんの気持ちです。(※ネタバレ※第6話の内容ほとんど書き出してます、ドラマを見ていない方はご注意を!)
家族になること、恋人同士のようにいること
2013年12月
夫さんは映像制作会社の人、巻さんはその撮影でバイオリン弾いたのが二人の出会い。
彼女は知り合ったことがないタイプで、品があって、音楽やってて、ちょっと何考えてるかわかんない、そういうミステリアスなところが魅力で。
彼と一緒にいると飾らなくていい気がして、
彼女と一緒にいるとドキドキして
人生を一緒に歩もうって決めたんです、と2人。でも、この時点で、自然体でいられることを重要視する真紀ちゃんと、ドキドキを求める夫さんには距離があります。でもいいです、たぶんこういうカップルたくさんいますよね。
結婚して彼と家族になりたかった。
結婚しても恋人同士のようにいたかった。
真紀ちゃんは真紀ちゃんらしくバイオリンを続けてほしいと願う夫さん。弾こうとしない真紀ちゃん。から揚げに容赦なくレモンをかける真紀ちゃん。ほんとはレモン嫌いだけど言えない夫さん。
2014年12月
夫さん、本社の人事部に移動、制作の現場を離れる。これからは早く帰れるし、一緒に映画見たり温泉行ったりしようねって2人。
子供は難しいらしくて、ちょと残念だったけど、いつまでも恋人同士でいたいって思ってたし。
2人でも家族は家族だからって。
やっぱりドキドキを求める夫さん、家族という場所を求める真紀ちゃん。
人生ベストワンの映画を借りてきた夫さん。夜一緒に鑑賞。でも寝ちゃう真紀ちゃん。新しくできたカフェに行こうと誘う夫さん。今日は寒いから家でコーヒーを飲もうと断る真紀ちゃん。
一緒にいるうちに無理しないでいい関係になって、嘘もない、隠し事もない、素直な自分でいられた。私家族を手に入れたって思えた。
一緒にいてわかったのは、当たり前だけど、あぁ彼女も普通の人だったんだって。恋をいている時は特別な人だって思えたけど、最初の頃のちょっと秘密めいた彼女はもうどこにもいなくて。
なんでバイオリン弾かないの?家のことはいいから自分の好きなことやりなよ、と夫さん。家にいて、家事をすることが私のやりたいことよ、私幸せよ、と真紀ちゃん。
そんな風にいう彼女をどっか退屈に感じて。
嬉しかった。この人を支えようって思って。
徐々に二人の間の溝がはっきりしてきてます。
こんなんじゃダメだ、この子は僕のお嫁さんで、恋に落ちて結婚したんだから、頑張らなきゃ。
いつも明るくしてようって思って、テレビで見た面白い話をしたり。
彼女が生活している範囲は狭いから、話題はたいていテレビの話で。でも俺が聞いてあげなきゃって。
帰りに洗剤買ってきてと頼む真紀ちゃんからのメールに、残業で遅くなると嘘をつく夫さん。頑張らなきゃって思ってるのに頑張れない、うまくいかない夫さん。
好きなものを見て、隣の彼女も同じように感じてる、そんなことは些細な事、自分にそう言って。
ある時、彼女と温泉に行って、そこですごく仲のいいご夫婦にお会いして、聞いたら結婚して40年って。
40年かぁ~って(しみじみ)
40年かぁ…って(げっそり)
愛してるけど好きじゃない
2015年7月
彼女は何も変わってなくて。初めからずっと俺を好きでいてくれて。なのに・・・。
体調を崩して入院した真紀ちゃんをしり目に家でビール片手に映画三昧の自分にハッとして、DVDを段ボールに詰める夫さん。何やってんだ俺、的な感情。
2016年1月
真紀ちゃんに内緒で仕事を辞めた夫さん。今日早かったね、と聞く真紀ちゃんに、だいぶ慣れてきたからとうそをつく夫さん。
2人の思い出の本を鍋敷き代わりに使う真紀ちゃん。夫さんはそれを見て心に影を残す。次の日3階のマンション自室から飛び降りる夫さん。
病院で家森と出会う。「あんないい妻がいて文句言って言ってたら怒られますよ。優しそうで、品があって、1億点の妻じゃないですか?」と言われる夫さん。
から揚げにレモンかけられます。レモン好きじゃなくて。
入院したもの妻が原因なんですよ。完璧とか1億点って言われたって….
偶然居酒屋で真紀ちゃんと夫さんが出くわす。真紀ちゃんは気づいてるけど、元同僚と飲んでいる夫さんは気づかない。
いらない、おれレモン嫌いだから。外で食べる時くらい好きに食べさせてくれよ。
結婚してまだ2年か。お前(同僚)なんもわかってないね。愛してるよ。愛してるけど、好きじゃないんだよ。それが結婚。
夫さんが言ったことが聞こえてしまった真紀ちゃん
私は家族がほしくて結婚して。
結婚しても恋人のように思っていたくて。
気が付いたら彼は家族じゃなくて、片思いの相手になってて。
彼女は恋人じゃなくて家族の一人になってて。
ほしかったものはお互い逆さになってて。
こんなんじゃだめだ、ちゃんと話そうって。
でも向き合っていざとなると話せない2人。いてもたってもいられなくて、コンビニに行くといって出て行った真紀ちゃん。路上で立ち尽くす真紀ちゃんの背中姿を見ながら逃げ出す夫さん。
どうしてこの2人はもっと向き合うことができなかったのか、もっと素直にいろいろ言えなかったのか、レモンかけないでって言えなかったのか、考えさせられます。
本当に平凡に流れていく時間の中で、夫婦はこうやってすれ違っていくのかと。何かドラマではなくてドキュメンタリーでも見ているみたいでした。
後ろでところどころ流れていたピエトロ・マスカーニ作曲の「カバレリア・ルスティカーナ間奏曲」がとてもはまっていたように思います。
次回、別府くんは倉庫に閉じ込められたままなのか、家森はサルを捕まえられるのか、アリスちゃんはどうなったのか、なんでバイオリンを盗もうとしたのか、そして夫婦はどうなるのか、目が離せませんっ!