鳥インフルエンザ、殺処分の方法とは

2016年11月28日新潟県と青森県で鳥インフルエンザが確認され、新潟県では約32万羽が殺処分されるというニュースが話題となりました。それ以降、各地で散見される鳥インフルエンザとは一体なんなのか、なぜ殺処分が必要なのか、また実際どのように行われるかをレポートします。

鳥インフルエンザとは

鳥類(主に水禽類(すいきんるい)- 水辺や水上で生活する鳥、アヒルやカモなど)に感染する「H5N1亜型鳥インフルエンザウイルス」を病原体とする感染症で、感染した鳥やその排泄物、死体、臓器などに濃厚に接触することによって、ごくまれにヒトに感染することもあります。日本で発症した人は確認されていないものの、東南アジアや中東ではヒトへの感染が確認され死亡者も出ています。

flu引用:厚生労働省 10月3日現在「鳥インフルエンザ(H5N1)発生国及び人での確定症状(2003年11月以降)」 

潜伏期は1~10日(多くは2~5日)で、発熱や下痢、多臓器不全等を引き起こします。今のところ日本での発症は確認されておらず、またヒトヒト感染しないものの、ヒトインフルエンザウィルスと鳥インフルエンザウイルスが混じりありヒトへの感染力が強い新たなウィルスが生じる可能性が懸念されています。

ウィルス撲滅法

ワクチンはありますが発症を抑えるものであり感染を完全に回避することはできません。

今現在日本で行われているウィルス撲滅法としては、発生地点から十数キロ範囲にいる鶏を摘発淘汰(すなわち殺処分)することが有効とされています。

ちなみに海外ではワクチンを用いてウィルス撲滅に成功した事例もありますが、このワクチンは日本では使用許可がおりていません。

これまでの鳥インフル発見事例

2004年ごろから宮崎、岡山、山口、大分、埼玉、茨城、秋田、北海道の養鶏場や野生の鳥から鳥インフルエンザが検出されています。養鶏場で発見された場合は直ちに摘発淘汰され小規模の感染で収束しています。ただし2004年浅田農産の件だけは対応が遅れ大規模発生になっています。

2004年京都府丹波町の浅田農産事件

経営者は鶏の大量死により鳥インフルエンザの感染を確信していたものの府に報告しないまま他の鶏を出荷。疑感染鶏の卵や肉が流通し、農場から5キロの養鶏場で2次感染が判明した。なお事件後経営者夫婦は自殺。

摘発淘汰(殺処分)の方法

2016年11月新潟県で発生した鳥インフルエンザでは鶏約31万羽を摘発淘汰するべく、陸上自衛隊が出動しました。報道によると派遣された約450名の陸上自衛官が150人ずつ8時間交代の24時間体制で作業にあたったようです。しかし実際は12時間以上の勤務が続く隊員もいたと聞きます。

青森県では役場の職員も殺処分に駆り出され、慣れないうえに長時間の作業に疲労困憊という報道がなされました。

殺処分は原則として鶏舎内で実施し、脊髄断絶、炭酸ガス等により行います。死体の焼却、埋却、消毒は原則として発生場所に隣接した場所において実施します。 焼却場所については、都道府県などの地方自治体や関係機関の協力の下、近隣に設置されている焼却場の利用を検討することになりますが、緊急的な対応として、移動式焼却炉やエアバーナー が使われることも想定しています。また、埋却場所の選定については、地下水汚染等も考慮しなければならず、 公衆衛生部局等と事前に十分協議が必要となります。埋却溝の深さは4~5mとし、家畜死体の上 は1mの覆土を行います。そして石灰を用いて消毒を行います。(引用:高病原性鳥インフルエンザと発生時の防疫措置 – 農林水産省)

殺処分による撲滅には初動が肝心です。

2016年から2017年にかけて発生した鳥インフル

昨年末から立て続けに発生している鳥インフルエンザを簡単にまとめました。

発生月 場所 万羽
2016年11月 新潟県関川村 31
2016年11月 新潟県上越市 24
2017年1月 宮崎県木城町 16
2017年1月 岐阜県山県市 8
2017年2月 佐賀県江北町 7
2017年3月 宮城県栗原市 21

新潟県で発生した際の殺処分数が尋常でないほど多いことがわかります。災害派遣で殺処分のために日夜働いた陸上自衛隊の方、本当にお疲れ様です。

また、養鶏場以外の場所で発生し、大量の殺処分に至らなかったケースもあります。

発生月 場所
2016年12月 愛知県名古屋市東山動物園
2017年1月 兵庫県伊丹市昆陽池公園

これらの場所では入園を禁止する、消毒を行うなどして感染拡大を防いでいます。

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